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6月, 2013の投稿を表示しています

モロッコと環境教育

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 6月上旬、モロッコに行った。2年に1回開催される国際環境教育会議(World Environmental Education Congress)に出席するためだった。環境教育研究の世界はまだ若く、国際学会というものはまだ設立されていない。それに代わるのがこの会議だろうか。 訪問したマラケシュ都市郊外。 水や緑のない台地が延々つづく。ヤギ飼いをよく見かけた 緑は植林したユーカリかオリーブの木。 こちらは良質のオイルがとれるアルガンの木  あまり知られていないが、世界の環境教育のムーブメントを作るきっかけは、1975年に世界の環境教育専門家が集まって起草したベオグラード憲章にさかのぼる。そして同年、京都で日本学術会議の主催でInternational Congress on the Human Environmentが開催され、分科会Information and Education on the Environmentにおいて、日本の公害教育実践が初めて世界に紹介され、海外の研究者を驚嘆させた。 日本では絶滅のコウノトリも モロッコでは街の城壁のあちこちに巣づくりをしていた アルガンの木実の皮をむいて臼で挽くと油がとれる。 寡婦を中心に組合をつくって製造販売に力を入れていた  それから実に40年が過ぎ、環境教育の勢力図はずいぶん変わったように思う。契機は、国連機関のユネスコが環境教育の主導をとるようになってからだろうか。2003年に立ちあがった本会議は、欧米を中心とした「主流」環境教育を取り込みながら、中南米や地中海の国が主導権を握っているのが面白い。 円すい形の「土鍋」タジンで煮込んだ料理は スパイスが利いて乾燥した暑い国ならではのもの。おいしくてはまった 夜な夜な夕食(お酒はない)に通った世界文化遺産のフス広場。 店開きは、暑さがひと段落した16時から。人、音楽、食、工芸品で熱気がすごい 今回最後の全体会でインドの有名な環境保護運動家のバンダナ・シバが講演に訪れ、真っ向からアメリカやイギリスを名指しで批判し、ブラジルからきた教授が、環境教育は政治教育であると断じていた。第7回目にして初めてイスラム教国で開催したのも本会議事務局の強い思いがあって実現した。 主催者発表では会議参加者は1200人。 その中に地元の子どもたちも多く含まれている。 会議には、ノーベル平和

ゆふいんの森

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  先週久しぶりに大分での通訳案内の仕事が入りました。その行程のなかに数年ぶりの湯布院が入っていたので下見に出かけました。どうせ行くのならちょっと旅行者気分を味わおうと思い、鹿児島中央駅から九州新幹線で久留米まで行き、久大線に乗り換えて「ゆふいんの森」号で湯布院へと向かいました。「いぶたま」も人気ですが、JR九州にはSL人吉とか、隼人の風、いさぶろうしんぺい号、海幸山幸号などいろいろな観光列車があります。いずれもなかなか予約が取れないという話ですが、私は「ゆふいんの森」号の座席を前日に予約することができました。平日だったのでそれが可能だったのでしょう。入口から3,4段ほどの階段を上がったところにあるウッド調の床の座席は確かにおしゃれで眺めが良く、湯布院までの時間を睡眠時間に充てようと思っていたのですが、結局まわりの風景を楽しみながら1時間半ほどの列車の旅を楽しみました。観光列車と普通の特急との違いは、まわりの風景やそれにちなんだ昔話の紹介がけっこうあること、それと乗務員の質の高さでしょう。  私の乗った4号車は一番後ろの車両でしたので、後に流れていく景色を運転席から見ることができました。でも確かずっと前は展望車両があったような記憶が。。。(今回の乗車は2回目です)。以前と大きく異なったのは、車内で聞こえてくるのが中国語と韓国語だったこと。よくよく見渡すと日本人らしき人はチラホラしかいません。乗務員に尋ねると、この列車の乗客の7,8割は台湾か韓国からの客だということでした。湯布院駅に降り立ち、観光案内所で聞いてみるとその数字はさらに上がり、「9割はアジア人」と言っていました。  10年以上前に行ったときに印象深く覚えている湯布院は川面に朝もやがかかりとても風情のあるところということでしたが、あっという間に店が立ち並び、なんだかかわいらしい町に変貌してしまいましたが、2,3年前に行った時とくらべて街並みがさらに変わってしまっていたようでした。私は個人的には以前のほうが好きで、その昔、金鱗湖までゆっくりと歩いたのを懐かしく思い出しながら、韓国人や台湾人であふれかえっている通りを彼らの間を縫うようにしてあわただしく下見を済ませることができました。 山崎美智子 2013.6.5 「ゆふいんの森」号(湯布院駅にて) 後方運転席からの眺め