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Penaeus japonicus

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  初任地は鹿児島県水産試験場調査部で、漁場の水質監視や水質管理を担当した。当時、県は大型陸上タンクによるクルマエビ養殖の技術開発に取り組んでおり、少し関わった。45年も前の話である。近年、クルマエビ 科の分類が細分化されたらしく、学名は、Penaeus japonicus からMarsupenaeus  japonicus となっていた。  クルマエビは夜行性で、日没後タンクの底の砂床から出てくる。そのタイミングで人工飼料を投餌する。タンクは二重底になっていて、海水は砂床(約10㎝)を抜けて外に出ていく。残餌による砂床の悪化(還元層形成)や摂餌行動に伴う海水中の溶存酸素濃度の低下(酸欠)が水質管理上の課題となっていた。要するに、餌のやり過ぎは、経営的にも水質管理上も不利になることから、最適の条件を探ることが研究テーマとなった。当時、フィールドは、知覧町(現南九州市)南別府の民間のクルマエビ養殖場で、毎週通っていた時期もあった。何せ、夜行性なので水質分析も夜通しなのである。  最近、新橋にクルマエビ料理専門店ができた。知覧町の養殖場を経営する会社が出した店で、毎日、生きエビを直送しているらしい。3年暮らした東京を離れる前に必ず行こうと思っていたし、久しぶりに堪能した。45年前の仲間と再会したような気がした。  養殖生産量は、全国で1,300トン(2016)、最盛期3,000トン(1988)の半分以下になったものの、鹿児島県は沖縄県に次いで第2位を維持している。かつて県が進めた漁業振興策は一定の成果を収めていることが嬉しかった。  Penaeus japonicusは焼酎で生き締めし、殻をむいて食べるのが一番だ。フィールドでの、たまの楽しみだった。 岩田治郎  2018.7.10