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木村探元と武家のたしなみ

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  平成9年度(1997)から、鹿児島大学附属図書館に所蔵されている玉里島津家文庫などの貴重書を一般に公開する展示会を行ってきています。最初から企画に参加しているので、もう17年目になります。  平成26年度は高津が担当で、南九州市のミュージアム知覧との共催で、「木村探元と武家のたしなみ」と題して展示会を行います。場所は、ミュージアム知覧の展示施設をお借りし、12月19日(金)から3月15日(日)までです。1月10日(土)には、本学教育学部の下原美保先生(日本美術史)の講演会がミュージアム知覧で開かれます。  木村探元(1679-1767)は、江戸時代薩摩を代表する画家として有名ですが、非常に多様な才能に恵まれた人物で、著書として、茶の湯に関する書物『白鷺洲(はくろしゅう)』、和歌に関する書物『浦廼浪(うらのなみ)』、京都への紀行文『木村探元上京日記』、随筆集『三暁庵談話(さんぎょうあんだんわ)』が残されています。今回は、木村探元の絵画作品の他、彼の著書4点の江戸写本などを展示する予定です。  特に、『白鷺洲』は、知覧島津家第18代当主、島津久峰(しまづ ひさたか、1732-72)が、宝暦4年(1754)から10年(1760)まで、隠居していた76歳の探元のもとを、足かけ7年間、55回も尋ねて聞き書きをしたものです。23歳の島津久峰から見ると、探元は53歳年長です。実に熱心なお弟子さんだったようです。  知覧は武家屋敷と庭園で有名ですが、領主の島津久峰は文化事業にも熱心で、彼には漢詩集『毅斎遺稿』があり、彼の蔵書は子の久邦の時代に「知覧文庫」として整備され、一部が現在まで伝わっており、また、郷士のための学校も設立しました。 高津孝 2014.9.21 平成25年度 貴重書展示図録表紙