Tシャツ

  真夏のフィールド調査では紫外線が天敵。南国の日差しは暴力的ですらある。日に焼けるだけでもヘタるので、Tシャツの下に長袖シャツを着る。この夏お世話になったTシャツをいくつか並べてみた。生物研究者は対象生物のグッズを作るのが大好きで、研究室や調査チームでよく対象生物をモチーフにしたTシャツを作る。

 右の写真は、ベントス・プランクトン学会合同大会で作られたもの。干潟の泥の中や磯の岩礁上など、底質にくっついて生活している生物をベントス、自力で移動するというより水面に浮いて流れに身を任せている生物をプランクトンと言う。対照的な生活だが、動かない植物が種を飛ばして分布を広げるごとく、子供時代をプランクトンで過ごすベントスは多い。と言うわけで、右上にプランクトン、左下にベントスのイラストを並べてある。背中には「生物調査中」の文字が。


「干潟調査中」というのもある(左の写真)。前側のイラストは干潟に棲息するベントスとその巣穴を模してある。干潟で生活している甲殻類や二枚貝類、多毛類の多くは、それぞれの種に特有の巣穴を作る。その形を持ち主とともに説明する、授業にも使えるTシャツである。残念ながら、東北大学の研究室で作られたため、鹿児島の干潟には対応していないが・・・

ちょっと変わったところで、右はハオリムシを描いたTシャツだ(決してロウソクではない)。ハオリムシは化学合成細菌を共生させ、口や消化管を持たない動物。鹿児島湾奥には世界最浅の棲息水深を誇る(?)サツマハオリムシがいる。このTシャツは沖縄で化学合成系の国際学会を開催した際に作成され、分類群毎に異なる形態の特徴を描き出そうとしたものだが、分かる人にしか分からないという残念なTシャツではある。

山本智子 2014.8.25