ラジオ体操

  中高年のラジオ体操がひそかなブームらしい。現在のラジオ体操第1の曲は1951年から使われている。最初にやらされたのが何歳の時だかはっきりしないが、教頭先生は陸軍士官学校出身、体育の先生はテレビ体操の実技アシスタントだった方々で、「きをつけ+ラジオ体操+やすめ」の動作を、手足の角度や動かす速度まで実にコト細かに教えられた。しかし今や身体の柔軟性は無く、何が起こるか恐ろしくて再現する気になれない。ヒマラヤに行った時もリーダーの発案でラジオ体操をした。高度障害の猛烈な頭痛にシェルパ語の「1、2、3、4」がガンガン響き、ヒマラヤンブルーの空に映える秀麗な雪山を見上げながら嘆息したことを思い出した。現地語、といえば、『ラジオ体操第1お国言葉編』というCDには、関西弁、津軽弁、山形弁、名古屋弁、博多弁に続いて鹿児島弁が収録されている。鹿児島と言ってもいろいろあるのになあ、と思いながら奄美へ行ったところ『奄美島口ラジオ体操』というCDを見つけた。奄美、笠利、竜郷、大和、宇検、瀬戸内、喜界、徳之島の言葉で掛け声がかかり、伴奏は三線(サンシン)と太鼓(チヂン)という本格派である。その後,沖縄の慶良間諸島へ行った。『うちなぁぐちラジオ体操』というCDがあるが、完売だそうだ。「手に入ったら送るからね」と言われて楽しみに待っているところである。空の青、海の青にも多様性があるように、ラジオ体操にも地域固有種があるのですね。

宮本 旬子 2014.3.6

アマミブルー(奄美群島)

ケラマブルー(慶良間諸島)

ボニンブルー(小笠原諸島)

ダイトーブルー(大東諸島)