地域の魅力的な人たちに会いに行こう!

 11月3日の「文化の日」に,薩摩川内市の峰山地区コミュニティ協議会の「柳山アグリランド芋掘り」が開催された。

   峰山地区と言えば,県が進める「共生・協働の地域社会づくり」のお手本のひとつとしてしばしば語られる地区。

  人口約1,500人,700世帯余りの地区ながら,延べ1万人を超える地区住民のボランティア活動により,牧場跡を四季の花が咲き乱れる自然公園「柳山アグリランド」に生まれ変わらせたり,そこにあった牛舎を改造して住民自らが運営するレストランを開業したり,住民協働で地区内の道路整備を行ったりと,德田会長のもと,その強烈な住民パワーで,意欲的な「自助」「互助」の取組を行っている。

今回の舞台となったコガネセンガンの畑。
奥は,食用のベニハヤトなどの畑。
畑の周辺にはイノシシ防止用の電気柵が設置されている。

峰山地区コミュニティ協議会の德田勝章会長。御年74歳。
平成17年4月の就任以来,
同地区のパワフルな住民活動の中心的存在である。

 今回の「芋掘り」は,当地区のこうした取組の1つであるオリジナル焼酎「柳山高柳(やまぎやまこうりゅう)」の原料となるサツマイモの収穫・出荷を行うもの。7月に同じく柳山アグリランドで行われたコスモスの種まきとサツマイモ畑の草取り作業にボランティアとして参加し,手づくりのおにぎりや漬け物等を頬ばりながらの同地区の皆さんとの語らいの楽しさを忘れられなくなった私は,職場の同僚や本学教育学部の学生たちといっしょに今回も参加させていただいた。

   今年のサツマイモの生育状況は例年に比べめっぽうよかったらしく,私が今までに出会ったことがないような人間の頭くらいの大きさの立派なイモがザクザク,ゴロゴロ!

 その分,出荷作業は思ったよりもハードであったが,住民を中心とする約200人の参加者がお互いに声を掛け合いながら,力を合わせて取り組んだ結果,約2時間半でオリジナル焼酎用のコガネセンガン約7トンの出荷ができ,あとは来年1月末の新焼酎の完成を待つばかりとなった。

参加者全員での収穫・出荷作業風景。
中でも,地元の小中学生が本当に
一生懸命に作業に取り組んでいたのが印象的だった。
写真中央の小学5年生位の男の子が,
作業終了後にお土産にもらった芋を
両手にさげて帰る後ろ姿には,
既に一家の大黒柱的な頼もしさと力強さが漂っていた。

収穫・出荷作業後の畑の様子。
写真のネット1つに500~600kgが入るがこの日1日で,
このネット13個分,7,030kgのコガネセンガンが収穫され、
焼酎工場に出荷された。
今回のイモを原料とする焼酎の売上収益は
同地区コミュニティ協議会の自主財源として,
様々な活動に活用される。

 そして,その後は,お待ちかねの語らいタイム。今回は,おにぎりや漬け物,ゆで卵,めざし,焼き芋のほか,レストランで提供している手づくりうどんまでも振る舞っていただき,住民の皆さんといっしょに心温まる楽しい時間を過ごさせていただいた。

住民の皆さんとの語らいタイム。
参加者全員で同地区の女性の皆さんが
朝早くから作ってくださったおにぎりなどをいただく。
おしゃべりで食いしん坊の私がいちばん好きなひととき~

レストランで提供されている手づくりうどん。
出汁も手づくりで,南九州ならではのかき揚げ「ガネ」が
トッピングされているのもうれしい!

 地域に足を運ぶと,峰山地区の皆さんのように,自分の地域のために自分のできることに精一杯取り組んでいる,前向きで魅力的な人たちに出会うことができる。

   10月に参加した鹿児島市吉野の住民グループが主催するウォーキング大会でいっしょに13.5キロを歩いた60才越えのおじさん2人とおばさん1人の3人組や,地元中学校のPTAのお母さん3人組も,ウイットに富んだ,とっても気持ちのいい方たちだった。

  同じく10月に仕事で訪れた枕崎市木口屋集落の自治会役員のMさんも,地元のNPOといっしょになって,30世帯52人,高齢化率65%以上の集落の元気おこしに取り組む,前向きでステキな方だった。

  ここ2ヶ月だけで,こんなにたくさんの魅力ある人たちに出会えたのだから,これからもっとたくさんの地域コミュニティやNPOの活動に参加すれば,さらに多くの地域思いの方々に出会えるはずである。

住民の皆さんの手による自然公園「柳山アグリランド」。
7月に種まきをしたコスモスが美しい。
後方の柳山(標高389m)には頂上までハイキングコースを整備。
頂上からは360度が見渡せ,素晴らしい眺望である。

柳山の頂上から長島方面を臨む。
左方向には,甑島の島影もうっすらと浮かんでいた。

 最近,世の中では,グリーンツーリズムやブルーツーリズム,都会からの修学旅行受け入れなど,都市と農山漁村の交流が盛んである。こうしたツーリズムの魅力は?と聞かれれば,多くの人が日頃できない様々な体験だと答えるだろうが,私は最大の魅力は,その土地のたくさんの人々と出会えることだと思う。日常と違った場所で,日頃できない体験をしながら,その土地に暮らす前向きで魅力的な人たちと出会って同じ時を過ごす。すると,またその場所に帰って来て,その人たちに会いたくなる。ツーリズムも,ボランティアや地域活動への参加も,きっとその魅力の根っこにあるものは同じだろう。

   以前,本ブログで,「人たらし名人」たちの話をしたが,私もかなりの「たらされ名人」かも…などと考えながら,まだ行ったことのない地域とそこに暮らす方々に思いを馳せる今日この頃である。

   さあ,次は,どこに出かけようか。

柳山アグリランドのアイドル「仔ヤギのタロー」。
万が一,住民の皆さんとの語らいでも
まだ癒され足りないという人がいれば,
タローが優しく癒してくれる(?)

有村智明 2012.11.14