センス・オブ・ワンダーを求めて

  鹿児島市吉野町の雑木林で、5年前から乳幼児の野外体験学習、いわゆる「かごしま森のようちえん」が始まった。当初は月2回程度のイベントとしてスタートしたが、3年前からは年令別や親子参加型、週末だけなど5クラスを設け、ほぼ毎日開園、参加者は年間延べ2,500人を越える。国内に約150カ所の「森のようちえん」があるらしいが、毎日活動している拠点はほとんどない。

 土にも触れることができない子どもが、2週間も経つと雑木林を走り回るようになる。その変化には目を見張る。1950年代にデンマークで始まったらしいが、森のようちえんの基本理念となったのが、アメリカの生物学者レイチェル・カーソン女史(科学を学ぶ者にとっては必読書「沈黙の春」の著者としてあまりにも有名)のsense of wonderである。64才で生涯を閉じた女史の最後の作品。世界中の子どもに、生涯消えることのないsense of wonder(=神秘さや不思議さに目を見はる感性)を授けてほしい。「知る」ことは「感じる」ことの半分も重要ではないなど、自然の中で育まれる感性にこそ、人と自然との関わりの本質が見えるのではないかと気取らずに述べている。短編だが名著。

 「かごしま森のようちえん」の中心人物が「市川雪絵」。本学教育学部1995年卒。2児の
母でもある。今、トヨタの「カローラプレゼンツ・ニッポンコレカラプロジェクト」でブレイク中。全国から集まった47プロジェクトの若者をWebサイトで紹介。「いいね」マークをクリックすることで投票し、1位になるとTV特番が放映される。現在、長野の美人版画家や山中温泉の芸妓たちを相手に3~4位を争っている。9月までの戦い。「ここまで来たら日本一を目指そう」のキャンペーン中。皆さんの応援をお願いします。


(トヨタ カローラプレゼンツより)

 設立総会も終え、秋頃にはNPO法人として新体制でスタートする。順風満帆とまではいかないが、私は「ワイルドだぜ」と周りに言い放ちながら、部下の活躍に、久しぶりにワクワク感を味わっている。 

岩田治郎 2012.6.6